大学非常勤講師のお仕事は17年目で初めて、2箇所での新年度スタートとなりました。
まずは東京都町田市にある桜美林大学。芸術文化学群(=学部)の音楽専修(=科)で声楽を教えています。総合大学ということで大学全体の学生数は1万人を超え、メインキャンパスの最寄駅からは専用のスクールバスがシャトル運行するほどですが、数年前より芸術文化学群専用のキャンパス(=「ひなたやまキャンパス」)が新設されたため、現在およそ1600人がその校舎に通学しています。卒業後はほとんど全ての学生が一般企業や公務員などに就職し、そのため3年生頃には就職活動も活発化します。普段色んな髪の毛の色で声楽レッスンを受けていた学生が急に真っ黒に染め直して、黒いスーツ姿で現れて「先生、今日就活に出かけるのでレッスン早退します」と少し緊張した様子で伝えてくる姿は、音大出身の自分にとっては新鮮で、現実的な社会人の準備機関としての大学生の姿を体現してくれます。内定がもらえた後の嬉しい”報告会”も毎年の楽しみな時間となっています。
一方、今年度から新たにお世話になる昭和音楽大学は神奈川県川崎市麻生区で、桜美林大学のある町田市とは隣り合わせに位置します。幸運なことに東京のセカンドハウスは両大学の最寄駅に2駅ずつ、丁度中間にあるため、通勤にも大変便利です(電車に乗る時にホームの上下を間違えそうになりますが!)。昭和音大はその名の通り音楽専門の大学ということで1つのキャンパスに約1300人が在籍し、同じ学群に美術系や演劇系なども含む桜美林大学と違って、こちらは全員が音楽系の学科及びコースで学びます。大学院もあるように、より専門的に研究分野を掘り下げる環境があるため、卒業後はプロ演奏家やプロフェッショナルな音楽業界に関わる進路を目指す学生が多いと思います。(なお学部生の声楽レッスンに加えて、大学院オペラの授業も担当します。)すでに実際、昭和音大卒業生の歌手やマネジメント関係のスタッフと”同じ職場(オペラやコンサートの現場)”で出会う機会もたくさんありますね。
どちらの大学にも共通しつつ、自分の大学生時代の様子とは異なる点も。まずクラシック意外のジャンルの科やコースで学ぶ学生が多くなり、声楽レッスンの授業にエレキギターを抱えて来る学生や、専攻を個々に聞くと、ジャズやポップス、ミュージカルや舞台裏方スタッフ、吹奏楽、音響関係、などなど様々な返事が返ってくるという点。もう一つは両大学とも海外からの留学生が多く、キャンパス内で日本語以外も飛び交う環境にある点。いずれも現代の芸術系大学のリアルな情景として、時代の移り変わりを感じますね。事務仕事の上でなかなか複雑だったり、留学生とのコミュニケーションにとまどったりと、今は緊張しつつ頑張って新年度の諸々の業務にあたっているところです。あと、どちらの学校もデジタル化が進み、パソコンやスマホでの各種資料入力がほとんどなので、”アナログ派”としてはそこでも手間取っています(苦笑)。
そして逆に、昔も今も変わらないのは彼ら彼女らの「若さ」ですね。年齢ももちろんですが、その心の中にある学びへの情熱や不安、未来への希望や悩み、新しい縦横の人間関係の広がりへの期待ととまどいなど、表情や会話の中から伝わるその「若さ」は自分がイメージする”大学生”そのものです。これまでの音楽人生をますます充実させようと意気込む者。新しい音楽分野に挑戦する者。一人暮らしを始めた者。大学から離れた実家から長時間通学する者。やりたい事を見つけて新年度から本腰を入れる者。これからやりたい事を見つけようとする者。十人十色の学生たちですが、自分が受け持つ声楽レッスンは一対一の授業(=先生から直接名前を呼ばれて会話する授業)なので、学生個々のそれぞれのペースで歌や音楽と向き合っていく姿を見守りたいと思います。
曜日によっては午前と午後で2つの大学を移動する”ダブルヘッダー”も!新しい生活リズムにも早く慣れて、今年もますます講師のお仕事も頑張りたいと思います。(喉は大切に。)
(※写真上:昭和音楽大学。 下:桜美林大学ひなたやまキャンパス。 いずれも今月撮影。)