奏楽堂でオペラ

日本の音楽ホールの祖、東京上野の奏楽堂でオペラを上演して来ました。

 

 

本番のあった11月25日(土)は暖かかった前日と打って変わって急に冷え込み、しっかり真冬の装いで会場入りしました。そのぶん上野公園は紅葉が美しく、駅前の大きな銀杏が自分の緊張していた気持ちをその鮮やかな黄色の葉で明るく盛り上げてくれました。

 

 

去年に続いて2回目の奏楽堂出演となりましたが、今回も楽屋入りの前に重要文化財でもあるその歴史的な外観や入り口の門扉、石碑の奥で公演の無事を見守ってくれているかのような瀧廉太郎の銅像などを眺めて気持ちを高めました。日本の劇場で活動する者として、「わが国初の本格的な音楽ホールであり、音楽教育の記念碑的な存在(台東区教育委員会の案内文より)」であるこの会場で歌わせてもらえる幸運にあらためて感謝しました。

 

 

上演はセミステージ形式ということで舞台上の左に弦楽四重奏とピアノ、指揮者が配置され、残ったスペースで衣装付きの歌手が演技しながら歌うというスタイル。ごくわずかな小道具があるのみで基本的には「聴いて楽しむ」比重が高い上演…と思いきや、やはりオペラ好きな歌手の集まりということで、しっかり演技も充実した舞台をご披露させて頂きました!そのせいか途中、勢い余って(靴がすべって)あやうく転倒しかけてお見苦しい所をお見せしました、お客様にはお詫び申し上げます。

 

 

あまり上演機会の無いロッシーニ作品ということで自分にとってももちろん初役でしたが、歌っていて「これぞロッシーニ!」と気持ちが昂るような場面が沢山ありました。ロッシーニは年齢や活動した場所によって作風や音楽性が変化する作曲家として知られますが、この「湖上の美人」はその多彩な魅力がギュッと集約されているように感じました。(ジャコモ5世という役柄もやりがいがありました。)いつかまた機会があったらもう一度歌い演じてみたいと思わせてもらえました、素晴らしい作品に出演させて頂きありがとうございました!

 

 

主催のかっぱ橋歌劇団様、出演者皆様、関係スタッフ皆様にあらためて御礼申し上げます。江戸の下町の香り漂う温かいカンパニーの中でロッシーニ作品に取り組めて、本当に幸せでした〜!!

 

 

明後日水曜日は名古屋の2,000人のホールで中学生を対象に、体に染みついた音楽の残り香を感じながらロッシーニの歌曲(“踊り La danza”)などを歌います。

 

 

 

 

(※写真:文中の銀杏、奏楽堂まわり、本番及び出演者皆さんとのオフショットなどなど。)