全開放!

7/10(日)のジョイントコンサートは、ノーブレーキで声を全開放してきました!

 

 

前半はバロック末期から前期ロマン派までの、いわゆるベル・カントと呼ばれる分野の作品を取り上げ、同じアリアをメゾソプラノの桜井万祐子さんと交互にご披露しました。曲間では桜井さんによるズボン役についてのトークもあって、今回のテーマにお客さんをぐっと引き付けてくれました。前半最後はドニゼッティ作曲「ルクレツィア・ボルジア」の男同士の友情の二重唱をご披露しました。

 

 

後半冒頭はスペイン語の歌を5つ並べて、その後の「カルメン」の二重唱に向けて雰囲気を作り出してみました。高島理佐さんの美しいピアノソロを挟んで歌手2人それぞれがお気に入りのアリアを1曲ずつ歌い、最後はシチリアの悲劇を描いた「カヴァッレリーア・ルスティカーナ」のドラマティックな二重唱でプログラム本編を閉じました。二重唱は演技のやり取りもあるので、視覚的にもより作品の内容が伝わりやすいのかもしれませんね。どの二重唱でも盛大な拍手を頂きました!

 

 

ボリュームの大きな二重唱の後でしたので、アンコール1曲目はギターの弾き歌いで「セビリアの理髪師」のカンツォーネをひっそりと聞いてもらいました。強い声が続いた直後に弱音で歌うのは喉への負担が大きいので不安もありましたが、無事に破綻すること無く(笑)しっとりと歌うことが出来ました。そして桜井さんの十八番「ハバネラ」と、最後に2人でイタリアのカンツォーネ「忘れな草」をお聴き頂いてコンサートが終演しました。

 

 

盛り沢山のプログラムでしたが、ジョイントコンサートは2人で分担するのでワンマンのコンサートよりはコンディション的にキツくなく、お相手が歌っている間は休めるので喉も回復しやすいように思います。桜井さんとは気心も知れているので二重唱の演技やトーク内容なども特に決まり事や打ち合わせも必要無く、ワンマンの時のように気負い過ぎることなくコンサートが進められてありがたかったです。もちろんステージ上での桜井さんは今回もその素晴らしい声で会場全体を盛り上げて下さいました!メゾソプラノ特有の深い響きが宗次ホールいっぱいに広がっていました。

 

 

ピアノの高島さん(前日の名古屋は雷雨でしたが、東京から無事到着して下さいました!)にはコレペティトールとしての魅力を存分にご披露頂きました。知人のピアニスト奏者が聴きに来てくれましたが、ソロのピアニストとはまったく違う楽譜へのアプローチや音色の作り方(オーケストラのスコアから独自に編集して演奏されています)にとても感心されていました。特に外国語への見識と表現技術が無いと務めるのが難しい職業なので、日本ではこのジャンルの本格的な演奏者は非常に少ないと思います。名古屋のお客様にその芸術をご紹介頂きありがとうございました!

 

 

夕方に終演し、いったん荷物を自宅に置きに帰ってすぐ再出発して東京へ。ハードスケジュールでしたが、心地よい疲れと冷めやらぬ興奮で新幹線の中でも眠ることはありませんでした。案外とここまで声や体を全開放して歌えるコンサートは多くないので、また機会があったらジョイントコンサートもやれるといいなと思いました。しっかり喉を休めて、またあさっての本番に備えたいと思います!

 

 

(※写真はコンサート当日の風景とパンフレット。後ろからのギターの弾き歌いの写真は自分でも初めて見ました!撮影して下さったホールスタッフの方、どうもありがとうございました。)