歌手の尾崎紀世彦さんの訃報に大きなショックを受けています。
仕事帰りの車中でのNHKニュースで知りましたが、余りの衝撃で思わず声を上げてしまったほど驚きました。
実は、私は尾崎紀世彦さんこそ日本人で最も歌のうまい人物ではないかと思い、長年にわたり敬愛・愛聴してきました。
奇しくもNHKニュースでジャズドラマーの重鎮の方が、「後にも先にも出現しないオンリーワンな歌手だと思います」とインタビューで評されていましたが、私も本当にそう思っていました。
「豊かな声量」「広い音域」「モミアゲ」などのメジャーな印象に加えて、「外国語発音の素晴らしさ」(英国人とのクォーターなので英語はもちろん、デビュー曲「別れの夜明け」でのイタリア語セリフも素晴らしい!!)、そしてコンサートやショーでの「舞台での立ち振る舞い」に、オペラ人=舞台人のはしくれとして大きな感銘を受けました。
”『ウルトラマン・セブン』主題歌冒頭の「♪セブン、セブン、セブン……」の3番目の声”、”コーラスの一員で若かりし頃のいかりや長介さんと同じバンドで演奏していた”、”グループサウンズ時代はレコード録音時にメンバーで一人だけマイクから後ろに下がって収録した(声量が大きすぎたので)”など、エピソードを振り返るだけでも色々思いを馳せることができて、その早い死をより残念に感じます。70代、80代の歌もきっと素晴らしかったことでしょう、心からお悔み申し上げます。
「また逢う日まで」「ゴッドファーザー~愛のテーマ~」ももちろんですが、個人的には今でも彼の歌う「マイ・ウェイ(英語)」は本家のF.シナトラより誰よりも一番”イイ!!(良い!!)”と感じますし、「さよならをもう一度」の指笛の粋なパフォーマンス(発売当時は普通に歌詞を歌っていたリフレインのフレーズを、後年コンサートやショーのライブで人差し指を加えて素晴らしい指笛を披露するバーションになっています)は音楽家としての楽器演奏への適応性(デビュー前はバンドでウクレレ担当、またカントリー・ギターの弾き語りの技術は本当にすごい思いました)と尾崎さん特有の”さりげなさ、洒脱感の中の確かなプロフェッショナル(卓越した技術・能力などの披露)”を強烈に感じさせてくれました。
ニュースでの「聴く人に歌を”白紙で”届けて、自由に感じ取ってもらえるよう歌っています」という尾崎さんの言葉が印象的でした。
ご冥福をお祈りしながら、カラオケでまたいつか尾崎紀世彦さんの曲を全力で歌おうと思っています。
”さようなら、さようなら我が愛しの人よAddio,addio amore”
(「別れの夜明け」イタリア語セリフより)