7日と14日の2週にわたって、3つの小学校でアウトリーチを行いました。
アウトリーチとは一般の学校音楽鑑賞会(主に体育館などで実施される、演奏家のコンサートを全校生徒が同時に鑑賞するもの)とは異なり、子供たちが普段の授業で使用する音楽室で、普段の授業の時間内(45分)で行われ、プロの演奏家の演奏を聴くだけでなく子供たちも一緒に声を出したり、質問コーナーを設けてやり取りをしたりする、言わば「音楽を通した双方向のコミュニケーション」の場として近年盛んになっている教育の取り組みです。音楽たけでなく、美術やダンス、スポーツなどの分野でもアウトリーチ は行われていて、各分野で活躍するプロフェッショナルの自由な発想から生まれる新しい教育ツールとして次第に認知れつつあります。(時々テレビなどでも、例えばその学校の卒業生の著名なプロフェッショナルやアスリートを招聘して、母校でアウトリーチを行う様子が番組として放映されたりしています。)
今回訪れた岐阜県多治見市は数年前から継続的にアウトリーチでご縁を頂き、地元の公共ホールであるバロー文化会館さんのご依頼により多くの小学校に訪れています。同じ市内でも学校によって、また学年やその年ごとによって子供たちの雰囲気が異なり、例えば同じ曲を披露しても反応が全然違ったりします。セオリーや”鉄板ネタ”などが通用しないのがアウトリーチの独特の緊張感を生み、毎回ドキドキしながら準備や実演に臨むのですが、終わった後は普段のコンサートでは味わえない充実感や達成感、幸せな気持ちになります。子供たちの真剣なまなざしや素直なリアクションは、人が音楽と向き合う時の”本質”のように感じますね。
今回は12月ということでアウトリーチでは初めて、クリスマスの曲を披露。普段聞き慣れた曲もテノール歌手の声で聴くとまた新鮮に感じてもらえたり、新しい発見をしてもらえたようです。また一緒に声を出して発声練習コーナーをやったり、ロッシーニの歌曲の一節を歌ってみたりして参加型でも楽しい時間を過ごしました。終了後には挙手による感想や質問がたくさん届けられ、生き生きとした子供たちのリアクションに直に触れられらのもこのお仕事ならではの嬉しい瞬間ですね。
また色んな町でアウトリーチができたらいいなと思います。多治見市の子供たち、ご協力頂いた各学校の先生方、そしてバロー文化会館の担当者の皆様、ありがとうございました!
(※写真は当日の様子。ピアニストの秀平さんはアップライトピアノのカバーを全部開けて中身を披露、初めて見るピアノのメカニックの動きに子供たちも興味津々でした!)