大阪いずみホールでの「愛の妙薬」が無事終演しました!
演出家の粟国淳さんにより時代設定を現代に移し、場所も原作のスペインの田舎村からアメリカの上流企業の社内(テレビ局のようなイメージ)に読み換えたものでしたが、これがまったく違和感無く出演者にもお客さんにも受け入れられたということで、改めてオペラ上演の多様性、寛容性を再確認することができました。
ホールオペラということで様々な制約もある中、アイデアと努力によっていかようにもオペラは上演出来るという可能性を粟国さんは示してくれたように思います。「愛の妙薬」がご自身の演出家デビュー作品ということで、隅々まで知り尽くした粟国さんならではの筋にかなった読み換え演出を、作曲者の180年前のドニゼッティもきっと微笑ましく空から見守ってくれたに違いありません!
粟国さんに指揮の河原忠之さんを交えて、本番前日のゲネプロ後に三人で相談して決めたアリアの最後のカデンツは、おそらく世界的にもほとんど(もしくは、まったく)実演例が無いものだと思います。まさに「今回だけの」特別な上演に携わることができ、またそれに向けて日本を代表するオペラ界のトップランナーの方々と本当に同じ目線で意見を交わすことができ、音楽家としてオペラ人として、最高に幸せな時間を過ごすことが出来ました。一生のお宝が出来ました。
「愛の妙薬」はこれまでも何度か出演経験があり(粟国さんとも2プロダクション目)、これからもきっと縁のある作品だと思いますが、今回のいずみホール版はきっといつまでも忘れられないことでしょう。スタッフ、共演者含め本当に素晴らしいカンパニーでネモリーノを演じさせて頂いたことに心から感謝しています。
すべては出演依頼を頂きましたいずみホールさんのおかげですね、ありがとうございました!
(※終演直後のバックステージにて。現代版演出の一端が衣装からうかがえますでしょうか?)