今日も23日のアルテリーべ東京でのコンサートのご案内です。ネタバレ有り!(笑)
自分でプログラムを決められる時は極力ロッシーニの作品を一曲でも入れようと努めていますが、今回もせっかくなので大好きなロッシーニの曲を歌わせて頂きます。
歌劇「アルジェのイタリア女」のテノール役・リンドーロ(当時のオペラの登場人物名としてよく使われた、男性恋人役の名前。「理髪師」でも伯爵はリンドーロと名乗って意中の女性を口説きますが・・・こちらは6月の日生劇場で!!)のアリアは高音が頻発する難曲で、弱音を多用する抒情的な前半部分とアジリタが散りばめられたスピード感溢れる後半部分からなる大曲です。自分でもなんでこんな曲を選んだのかと・・・(笑)でもトライしてみようと思います!
続いて歌曲を二つ。1曲目は「さらば人生よ」というフランス語のタイトルで普通は上演されますですが、今回はイタリア語による「黙って嘆こうMi lagnero` tacendo」の歌詞で歌います。ロッシーニはこの「黙って嘆こう」(ピエトロ・メタスタージオ作)の歌詞がなぜかお気に入りで、同一の歌詞になんと50曲以上の異なる音楽を付けて作曲しています!クレイジー!!確たる理由はまだ判明してないそうで、ただただ、その詩が気に入ったからという作曲家の”マニア”的な側面でしか説明できないとも言われています。人気絶頂時の突然のオペラ断筆や、その後の料理へ執着の話など、とにかくこの天才・奇才作曲家にまつわるエピソードは無限に人類を惑わせ続けるのですが、ちなみに今回演奏するこの曲には歌詞のエピソードに加えてもう一つ、とある”ロッシーニのいたずら”が施されているのですが・・・ご来場のお客様はどうぞお楽しみに!
そして2曲目は「スペイン風カンツォネッタ(小唄)」。こちらもオリジナルはスペイン語ですが今回はイタリア語で歌ってみます。1821年の作曲だそうで、ロッシーニの歌曲としてよく取り上げられる作品集「音楽の夜会」や「老いの過ち」などオペラ引退後の作品群と違い、まだまだオペラ作曲真っ最中、欧州中で圧倒的な成功者として大活躍していた頃の作品とあって、その音楽も火花が散るかのようにキラキラしているように感じます。どんどん変奏(バリエーション)が加わる様式もこの時代のロッシーニの楽しみ方のひとつですので、こちらもどうぞご期待下さい!
200年も前の芸術作品ですが、時間や国、文化の違いを超えて現代でも世界中でその価値を共有できる素晴らしさに、これらの曲を練習しながらあらためて思いを馳せています。
(※写真はモンセラート・カバリエの来日公演のテレビ放送より。オペラファンなら誰もが知ってるカバリエ、つい先週良くないニュースでお名前を見ましたぞ!!晩節を汚すことなかれ・・・)