12月23日(水祝)は東京新橋のレストラン「アルテリーべ」でワンマンコンサートです。
同店で3回目の出演をさせて頂きますが、愛知在住ではなかなか集客も難しいのでこのブログでしばらくご案内を。ご興味のある方は是非ご来店下さいませ!
このコンサートはディナーのコース料理もお楽しみ頂きながらたっぷりとテノールの歌を聴いてもらうので、プログラムはスケジュール欄に詳細を掲載していますが、ピアニスト(藤原藍子さん)のソロも含めると全20曲を演奏予定です。
毎回好評を頂いているカンツォーネのコーナーでは、普段はなかなか演奏機会のない名曲をご紹介しています。今回も「太陽に酔って」「世界でただ一人君を愛す」などと一緒に、シチリアの古い民謡から作られた「アムーリ・アムーリ(愛よ、愛よ)」を歌う予定です。
日本では往年の大テノール、フェルッチョ・タリアヴィーニ(1913~1995年)の来日リサイタルでの上演が知られています。と言っても、昭和29年(1954年)のことと記録されているのでかなり昔ですね。
その時代は他にもたくさんの世界的な歌手たちが来日してくれて、戦後の復興のさ中の日本を随分と元気づけてくれたことと思います。もちろん、オペラやコンサートを通して本場のクラシック文化が初めて本格的に我が国に紹介された意味合いも大きかったでしょうね。タリアヴィーニもそのビロードのような弱音と美声で、当時たくさんの日本のファンを魅了したそうです。
「アムーリ・アムーリ」はそのタリアヴィーニのお気に入りの小曲で、いくつかの録音やイタリア内外でのリサイタルの記録でも頻繁に演奏していたことが分かります。興味深いのは、この曲は他のテノールはほとんど歌った形跡がなく、今日に至るまでテノールのカンツォーネのレパートリーにならずに彼の”専売特許”とも言うべき存在に留まっていることです。(ちなみにタリアヴィーニはこの曲の歌詞の方言であるシチリアの出身ではありません。)
こうした特定の歌手、それも歴史に名を残すような大テノール歌手が個人的に大切にしていた作品のいくつかを、興味本位で以前から楽譜を集めて自分で練習室で歌ってみたりしていましたが、このアルテリーべではそうした曲を披露できる貴重な場所でもあります。当日は演奏前に少し解説も加えながら皆さんに聴いて頂こうと思います、どうぞお楽しみに!!(続く)
(※写真はイタリアのテレビ番組で「アムーリ・アムーリ」を歌うフェルッチョ・タリアヴィーニ。無料動画で検索したらどなたでもご覧頂けます。”アテレコ”という手法で、もっと若い時の自分の音声に合わせて「歌っている演技」をしていますね。この頃はもうタリアヴィーニの代名詞とも言えるあの蠱惑的なピアニッシモは使えなくなっていたようで、その事が逆に、ピアニッシモ=弱音は決して声を抜いて(楽をして)歌っているのではなく、むしろ喉の繊細さや息の支えの強い筋力を必要とする、ということを証明しているように思います。)