愛に妙薬があるとしたら

「愛の妙薬」のリハーサルは大詰め、ひとつの場面を時間をかけて念入りに仕上げています。

 

物語のもう一人の主人公、ヒロイン役のアディーナ(光岡暁恵さん)とネモリーノの恋の成就がストーリーの本筋なのでやはり二重唱のシーンも多く、音楽的にも演劇的にも印象深いシーンが続きます。

 

お芝居でのちょっとした仕草や表情にダメ出しをもらったり、芝居のタイミングがずれて何度も同じ場面を繰り返したりと、演出家(喜田健司さん)とエレクトーン(西岡奈津子さん)のお二人とも付きっきりで稽古を重ねています。

 

表題の通り、「妙薬=惚れ薬(本当はただのワイン!)」を手に入れることでネモリーノはアディーナを振り向かせることに成功したと思い込むのですが、インチキ薬師の妙薬に効力が有るはずもなく、実は二人それぞれの性格から直接相手への想いを告げられないでいただけなのです。(もちろん、そのきっかけとして「妙薬」は作品中で大切な役目を果たしています。)

 

 

惚れ薬なる物が本当にこの世に存在するかどうかはともかく、薬や催眠術(?)に頼ってでも本懐を遂げたいと思う人間の気持ちは古今東西普遍的なものかもしれませんね。テレビやインターネットで占いやダイエット、老化防止関連商品などの宣伝を見るたびに、「現代版・愛の妙薬」を想像して楽しくなってしまいます。(笑)

 

 

 

でも結局のところ、アディーナの心を解放させたのはネモリーノの愚鈍なまでの純粋さ、真っすぐにただひたすらアディーナを愛する素直な気持ちそのものだったのではないかと、毎日稽古で演じながら感じているところです。

 

(※二重唱のリハーサル中。なぜか「ムフフ顔」です…… アディーナ役の光岡暁恵さんと。)