26&28両日の「愛の妙薬」公演へ向けて、リハーサルが順調に進んでいます。
今回演じるこの作品の主人公・ネモリーノは、テノールの役によくあるロマンチックな二枚目の「ヒーロー」タイプのキャラクターではなく、村の若い農夫で地位も名誉も財産も無く(物語の途中で病気の伯父が亡くなり突如遺産が舞い込むのですが・・・)、シャイで臆病でなかなか愛する人に想いを告げられないでいる”イジらしい”性格なのですが、その一途で純粋な心で恋するアディーナを振り向かせることに成功します。
全編にわたって明るく楽しい雰囲気の作品で、インチキ薬売りのドゥルカマーラ(三浦克次さんが大活躍されます!)を中心に喜劇的場面も多いこのオペラですが、楽譜には喜劇を意味する「Buffa(ブッファ)」ではなく、あえて「Melodramma(メロドラマ)」と表記されています。ネモリーノの珠玉のアリア「人知れぬ涙」の音楽の美しさを聴いても、この物語が単なるドタバタ劇だけでないことを感じさせてくれます。
そんなわけで、古今東西のテノール歌手がこぞってこのネモリーノ役をレパートリーにしているのですが、特に歌劇王ことエンリーコ・カルーゾをはじめとするイタリア人テノール歌手たちの演じるこの「特別なテノールの役柄」はどれも大変魅力的です。人懐っこくて感情に正直で、好きな女性のためには命も投げ出さんばかりに真っすぐでロマンチストで・・・もしかしたら彼らイタリア人の気質にぴったりなのかもしれませんね!
リハーサルをしながら、大好きなイタリアオペラを歌う喜びに溢れています。
(※写真はネモリーノ役に扮した往年の名テノール歌手。
左 エンリーコ・カルーゾ(1873~1921)
左から2列目上 ジュゼッペ・ディ・ステーファノ(1921~2008)
同下 ティート・スキーパ(1889~1965)
左から3列目上 カルロ・ベルゴンツィ(1924~存命)
同下 フェルッチョ・タリアヴィーニ(1913~1995)
右 ルチアーノ・パヴァロッティ(1935~2007)
いずれもイタリア人。若いパヴァロッティにはまだヒゲが無い!笑)