兵庫の『セビリャの理髪師』のリハーサルで、今週は名古屋⇔東京を3往復です。
写真は移動に使う鉄道です。左から名鉄(犬山線)、新幹線のぞみ、山手線、東急田園都市線。全部分かった方はきっと鉄道マニア?(画像検索で模型写真を拾ってみました。)
自宅玄関から稽古場の玄関まで、Door to Doorで約3時間。新幹線の早さ、乗り継ぎの便利さ、電車の本数の多さなど、心から日本の鉄道文化の素晴らしさに感心できるのも、イタリアの「のんびりとした鉄道事情」(笑)を経験したからこそかもしれませんね。なにより時間通りに電車が来るってことだけでもどれほど最先端な技術が必要なことか!!
周りの方々から「移動が多くて大変ですね」と言われますが、たまたま今回のプロジェクトが移動距離(名古屋⇔東京、名古屋⇔兵庫)が離れてるだけですし、プロ野球選手やJリーグの選手の皆さんはこの何倍もの距離を年間ものすごい日数で移動するわけですから(しかも彼らはハードな運動を伴う仕事を伴うのです!)、それに比べればさほどの苦労でもないでしょうね。
新幹線ではリクライニングシートを軽く倒して、好みの駅弁を買い込んだりコーヒーを持ちこんで、小さな机で楽譜をさらったり携帯電話で映像や音源を視聴したり、もちろん昼間っから人目をはばからずに眠るのもお楽しみの時間です!(どこもかしこもBGMが溢れるこのご時世、車両内の「静寂」もお気に入りです。)慣れてしまえばむしろ快適な「個人スペース」として貴重なシチュエーションですね。(毎回グリーン車なのもささやかなセレブ感!)
移動と疲労と言えば、2010年の藤原歌劇団での『タンクレーディ』の時の記憶は強烈です。指揮のA.Zedda先生の来日当日、その日夕方にイタリアから成田空港に到着された先生はその足で新百合丘の稽古場においでになり、なんとオペラ冒頭からまさに「飄々と」タクトを振られて21時きっかりまでリハーサルをされました!当時82才の小柄なマエストロから溢れる情熱とエネルギー、音楽への欲求の強さはまさに「巨匠」の姿でした。(これじゃ国内レベルの移動で疲れたなどと言ってられないなぁと、以後弱音を吐かなくなったきっかけにもなりましたね。)
忘れ物の無いように(昔、寝台列車の中にトランペットを忘れた事があります。靴を履き替えるのを忘れてスリッパで出てきたこともあったっけ……)、しばらくは楽しい電車の旅を満喫したいと思います。