Intervallo~稽古の合間に~

本番まで10日あまり、ラストスパート前の余裕のあるうちにと(?)飲み会に誘って頂きました。

写真のとおり、ちょっとハメを外しすぎた方もいらっしゃいますが、ご本人にはもちろん確認の上でUpさせて頂いています(笑)。舞台を降りた貴重なオフショット、それぞれのファンの皆さんには珍しい表情もあるかもしれませんね!!

 

 

リハーサル中は基本的に、自分の出演する日の共演者(「初日組」と「2日目組」と呼ばれます)とだけで舞台を作っていきます。もちろん、欠席がある場合は別の組のキャストが混ざる事も有りますが、同じ音楽、同じ演出とは言えやはり生きた人間同士のやる事、細部にはそれぞれのタイミングがありそれぞれの表現方法も尊重されるので、やみくもに”ミックス”して練習することはありません。(合唱やオーケストラは2パターンの微妙な違いを使い分ける事が出来ます。Bravi!!)

 

私のようにまだまだ経験の浅い者としては(特に今回は初役なので)、自分と違う部分はあっても別の組=先輩歌手の稽古を見学しながら、あるいは稽古場で生の『夢遊病の女』の音楽と情景を体で浴びながら勉強させてもらえることはとても貴重な時間です。

 

 

音楽面ではフレーズの作り方やブレスの位置、練習で「ここは声を抜く(※立ち稽古の際は喉を浪費しないために常に全力で歌うわけではありません。)」「ここは全力で歌う」というポイントなどを興味深く聴いています。

 

演技面では腕や指先の使い方、下半身(特に体重移動と足のさばき)、胸部の開き具合、背中が客席を向く時の見え方などなど、それこそしっかりと「観察」するように見る時もあります。

 

意外かもしれませんが、日本ではなぜか「オペラのための演技」の授業やレッスンが確立されていません。音楽大学やオペラ団体の研修所などでも、演技の基礎を学ぶ機会が極端に少なくて(母校でも、歌の試験は毎年あっても演技の試験はありません)、ほとんどがDVDなどの映像やこうした現場で見よう見まねで体得しているのが現実のようです。(スカラ座の研修所ではオペラの舞台で実際に使う「実用的な」姿勢や演技をレッスンしてもらえました。)

 

 

さらに、公演が「シングルキャスト」の場合、自分の役を他人が演じる機会が無いためこうした「観察」できる状況にはありません。「ダブルキャスト」の時こそ、研究したり成長したりできるチャンスなわけですね!

 

 

だんだん仕上げの段階に入ると、今度は混乱を避けるために必要な部分以外は意識して「見ない」こともあります。とくに本番前のこの時期になると、いつも自分のキャパシティー・許容範囲を見極めながら、吸収したいものと入れたくないものを直感的に判断して、マイペースを保つことを心がけています。

 

 

 

写真に話を戻せば、この日は両組入り乱れての飲み会、指揮者の園田さんも一緒にアジアン料理で英気を養いました。(実はこの前日も、また違うメンバーで飲み会やったばかりですが……)

 

合間合間で先輩歌手たちから聞ける世界的歌手との共演裏話や外国の食文化、国内外のオペラ事情など、和気あいあいの雰囲気の中にもたくさんの貴重な話を聞くことが出来ます。こうして世代を超えてのお酒の席が楽しいのは、きっと今のカンパニーが「よい職場環境にある」という事でしょうね!!(さて、ぼちぼち禁酒スタートかな……?)