「ファルスタッフ」登場人物紹介〜1/10〜

役柄の紹介トップバッターは、”メグ夫人”!

 

ピッツァでお馴染みのイタリア語マルゲリータ(Margherita)は英語でマーガレット。メグはその略称、愛称です。

 

 

オペラの原作であるシェイクスピアの喜劇「ウィンザーの陽気な女房たち」ではこのメグの娘がアン(=ナンネッタ)であり、その恋人としてフェントンが登場するのですが、ヴェルディのオペラ(=ボーイトの台本)ではメグに変わってアリーチェがナンネッタの母親に設定されていて、歌や演技の重要な役割はアリーチェが一手に担うことになっているためにここ(オペラ)でのメグの役割は女声陣の中で決して最も重要な位置付けではありません。実際、リコルディ版のヴォーカルスコアに掲載された「歌がある役柄」の中ではメグが1番最後にクレジットされています。(なおこの登場人物紹介のシリーズはリコルディ版楽譜の役柄掲載順の後ろから進めていきます。)

 

 

しかしメグはストーリーの上で大いなる存在感を発揮しています。このオペラのお話は太っちょ老騎士ファルスタッフが、アリーチェとメグという2人の人妻を同時に口説こうとそれぞれに同じ文面の恋文を送りつけようとする所から始まっていて、まさにこのメグの存在が物語の本筋を担っているのです。ソプラノのアリーチェに対して、メゾソプラノ(=中低音での魅力)という声種がメグに当てがわれている点も、気品ある良妻賢母としての彼女のキャラクターを裏付けしているように思います。

 

 

立ち稽古の中でも演出家の岩田達宗さんが度々メグの重要性をお話しされていました。客席からどうぞ舞台上のメグの存在感にご注目下さい!

 

 

(※写真下の2枚の挿絵は、1893年のスカラ座での初演の際に書かれたA.ホーヘンシュタインによるメグ役の絵コンテ。当然ヴェルディのリクエストもこの絵に反映されていることでしょう、左が普段の衣装で右が最終幕の”ハロウィンパーティ”で扮装した姿です。真ん中は今回のプロダクションのキャストのお二人、左が初日組の古澤真紀子さん、右が楽日組の北薗彩佳さん。)