様々な声を聴いた日々

週末まで4日連続して、様々な声楽を聴く日々でした。

 

木曜日

愛知県瀬戸市で、第90回NHK全国音楽コンクール(通称「Nコン」)の愛知県大会/高校の部を審査して来ました。全国的にもそのレベルの高さで知られる愛知県の高校の部とあって、今年も白熱した混戦模様の中で難しい審査を強いられました。昨年のマスク着用、25人制限という厳しい条件と比べると今年は格段に高校生たちの声がよく聴こえてきて、最初の出場校からすでに胸が熱くなってしまいました。コロナで悔しい思いをした先輩たちの思いを、あるいは来年以降さらにより良い条件で歌える希望を胸に、青春ど真ん中の高校生たちが精一杯の歌をこうして聴かせてくれているのかもしれないと勝手に想像しながら、頑張って審査させて頂きました。僭越ながら表彰式ではステージ上から、全ての参加校の生徒皆さん、そして指導された先生方に心よりの拍手を送りました。今年も若い力に感動した一日となりました!

 

 

金曜日

毎週指導させて頂いている男声コーラスの定例練習でした。秋の本番に向けていよいよ練習にも気合が乗ってくるこの頃ですが、平均年齢80歳を超える超ベテラン合唱団だけに、夏場は特に練習場への行き来での熱中症や転倒による怪我などにも十分気を付けないといけません。練習中も適度に休憩を取りながら、本番まで1人も欠けることなく練習を継続出来ることがまずは大事な目標ですね。人生の荒波を乗り越えた、この世代だからこそ表現可能な歌になりつつあると思いますので、皆様是非この卓越した”人生の達人たち”の歌声を聴きに演奏会に来てみて下さい!

 

 

土曜日

前日夜のうちに移動して、この日は東京で勤務する大学の実技試験の審査でした。副科の審査からスタートし、午後は主科の試験が行われる大学附属のホールで審査しました。昨年から使用され始めた全く新しいピカピカのホールで歌える学生たちを羨ましく思いながら、マイクを使わない生の声を大きな会場に響かせることの大切さ、そのための技術習得の大切さをあらためて感じました。合唱もソロも、我々は電気の無い時代の西洋の”古典芸能”を学んでいるので、こうしてある程度以上のサイズがある音楽ホールで歌える機会はあらゆる面で有意義な時間です。普段のレッスン室や練習室との響きや目の前の景色の違いに戸惑いながらも、学生それぞれが自分のベストを尽くして歌う姿にまた感動してしまいました。(もちろん採点はまた別ものですが!笑)

 

 

日曜日

ご縁のある出演者さんから招待されて猛暑の中を電車と徒歩でお出かけし、サロン会場でヴェルディのオペラ「二人のフォスカリ」を鑑賞。やっと審査や指導といった責任から逃れ、今日はリラックスしてゆったりと…と思っていましたがとんでもない!そこは偉大なるヴェルディの音楽が我が魂を掴んで離すはずも無く、さらに素晴らしいキャスト、素晴らしいピアニストの方々から放たれるギラギラした情熱に満ちた声と音楽に終始心を揺さぶられ、終わってみたら四日間で最もクタクタになった一日でした!(もちろん良い意味で。)久しぶりに大文字のVERDIを感じる上演を味わうことが出来て幸せでした、さすが藤原歌劇団の歌手たち!と誇らしい気持ちにもなりましたね。ベルカントもプッチーニも好きですが、もっとヴェルディも上演されるといいなと思いながら新幹線で名古屋に帰りました。VIVA VERDI! VIVA ITALIA!

 

 

こうして4日連続で様々な声を聴きましたが、いずれももちろん全て生の声。やっぱり自分は人間の生の声から生まれる歌や音楽が好きなんだなぁと、あらためて思うことが出来ました。

 

 

 

(※写真左上:桜美林大学のホール。  右上:Nコン愛知県大会高校の部の立て看板。  右下:メンネルコーァ東海の練習風景。  左下:サロンでの「二人のフォスカリ」のパンフレットやチケットなど。)