明日、初日の学生公演

全14回の「セビリアの理髪師」公演は明日が初日です!

 

今回の「セビリアの理髪師」はこの6月に東京の日生劇場で8回、11〜12月にかけて地方公演として滋賀県びわ湖ホールで3回、大阪府堺市で2回、山形県で1回が予定されていますが、一般のお客様にチケットが売り出されるのはその内の6回で、ダブルキャストのソリストはその半分の3回ずつが一般公演となります。残りは高校生向けの学生公演で、ソリストは両組それぞれ7回ずつの出演が予定されています。オーケストラは地方ごとで代わりますが、指揮者や合唱、裏方スタッフさんたちは全14公演に参加することになり、あらためて日生劇場オペラのプロダクションの規模の大さを感じますね。

 

 

日生劇場での一般公演は6/11(土)が自分の出演する日にあたりますが、それに先立ってまず明日の6/9に、都内高校生を劇場に招いての学生公演が上演されることになっています。いよいよ始まるぞという高揚感と緊張感で、前日でオフ日の今日は何もしていないのになんだか疲れましたね。(ちなみに日生劇場で自分の出演する回の学生公演は6月の9日、14日、16日の3回です。6/7の公開ゲネプロ、6/11の一般公演を合わせると、10日間で5回も「セビリア〜」を全曲上演することになります…喉が千切れそう!)

 

 

特に子供たちや若い世代に本格的なオペラを紹介して裾野を広げようとする日生劇場の取り組みの歴史は長く、少し前までは外国作品も努めて日本語で上演していた時期もありました。この「セビリアの理髪師」もイタリア語上演ですが日本語字幕付きで、前回の6年前も今回と同じくらいの回数の学生公演がありましたが、いずれの回も満員の高校生で盛り上がったことを覚えています。初めて劇場やオペラと接する機会となる生徒さんも多いのでしょう、開演前や休憩中も楽屋のモニターを通して客席の高校生たちのざわめきや興奮が伝わって来ましたね。明日もきっとたくさんの新鮮な眼差しに包まれて上演させてもらえることと思います!何か少しでも心に残るものがあると嬉しいですね、こちらも全力で今できる最高の舞台をお届けしたいと思います。(このご時世ですので残念ながらマスクで表情は見えにくいかもしれませんが…)

 

 

昨日のゲネプロで全てのリハーサルは終了。色々と調整するべき部分も上手くクリアし、初日組としても手応えを感じて本番を迎えることが出来そうです!オペラ=歌劇は「歌」であり「劇」であるのでそのどちらも充実していることが求められるのですが、ましてやこの作品はオペラ・ブッファと言われる喜劇的要素の多いこともあり、それぞれのキャラクターの持つ個性が歌と演技両面で際立って行くと最高に面白い舞台になると思います。ロッシーニに限らずイタリアオペラ全体で見ても喜劇の最高傑作としてシンボル的な作品とされる「セビリアの理髪師」を、素晴らしい舞台と素晴らしい共演者に囲まれて合計7回も出演させてもらえることに心からの喜びと幸せを感じています。(伯爵が最後に歌う大アリアの歌詞は「ああ、この上無い喜びよ、最高の幸せよ!」なんです!)感謝して最後まで頑張りたいと思いますので、どうぞ応援よろしくお願いします!

 

 

 

(※写真は1933年スカラ座の「セビリアの理髪師」のキャスト。「セビリアの理髪師」に出演する時はいつもこの写真を思い浮かべます。伯爵役は往年の大スターテノール、ティート・スキーパ。ロジーナ役は小柄な大ソプラノのT.ダル=モンテ、フィガロ役は大音量の声を待つB.フランチ。左端はバルトロ役だけで世界中に名を馳せたS.バッカローニ。後ろの長身はロシアの歴史的なバス歌手として”ステーキ”でも有名なバジリオ役のF.シャリアピン。表情や立ち姿だけでも、それぞれの役柄のキャラクターが感じられますね!)