続いては、1/29に名古屋の歌舞伎の聖地・御園座で行われた演奏会のご報告です。
(公財)日本オペラ振興会(藤原歌劇団/日本オペラ協会)の東海支部とは、愛知、岐阜、三重に静岡県浜松市を加えた地域に所縁(出身、在住、この地域の大学卒、など)のある団会員によって構成され、その地方の音楽文化の発展や普及、お客様との繋がりの拡大強化を図ることなどを目的とした団体組織です。数年前から先に群馬支部と栃木支部が活動を始めていますが、政令指定都市規模の大きな地方支部としては初めてとなるため、今後の同規模地方支部展開のモデルケースにもなると思います。
現在、日本オペラ振興会には1000人を超える歌手や演奏家(指揮者、伴奏ピアニストなど)が在籍していますが、こうして全国各地でより多くの団会員が演奏機会を得ることによって、演奏家同士あるいはお客様や興行関係者とのネットワークが広がることを期待しています。特に東海支部に関して言えば、毎年2月に愛知芸文で藤原歌劇団本公演(来年は「リゴレット」を予定」が継続的に上演さていることから、この地方のオペラファンの皆さんに当団の本格的なオペラ公演をご覧頂く上でのきっかけにもなれば、と思っています。
さて御園座はこの地方の人にとってはやはり格別な存在で、特にご年配の方の中には、歌舞伎ファンではなくても一度は行ってみたいと願う人も多いようです。歌舞伎の殿堂でオペラコンサートが観れるということで、また出演者や関係者の積極的な勧誘もあって、当日は沢山のお客様にご来場頂きました!
私は後半のオペラハイライト(この2日前に東京で上演されたばかりの「椿姫」!)に出演させて頂きましたが、せっかくの機会ということで、本舞台につながる花道の上でも歌わせてもらいました!足元からのお客様の視線を感じながら、360度に向かって歌う経験はなかなか貴重なものでした。自分のお客様からもいつもと違う距離感や見え方・聴こえ方を楽しめたと大変ご好評を頂きました。
ステージ右側にはオーケストラ(セントラル愛知交響楽団アンサンブルと三浦藍子さんのピアノ。指揮は田中祐子さん。)が配置され、奥には直前に上演されたばかりの「椿姫」の舞台写真が映されるなど、この会場ならではの演出も楽しんで頂きました。何より、東海支部のこの日の出演メンバーが本当に実力者揃いなので、それぞれの歌の魅力をたっぷりとお届け出来て嬉しかったですね!
いつかまた御園座で歌える機会があれば是非お誘いしたいと思います!洋の東西は違えど歴史的に同じ時期に生まれた舞台芸術として、マイクを使わないことや生のオーケストラ(歌舞伎では和楽器群)を伴奏とすること、舞台演出、聴衆の掛け声(「Bravo!」「◯◯屋!」など多くの面で共通点のあるオペラと歌舞伎の接点として、大変有意義な会場での演奏会となったことを心から喜んでいます。皆様ありがとうございました!