新鮮な上演体験

演劇とオペラのコラボ「コジ・ファン・トゥッテ」に出演しました。

 

 

留学時代も含めて、これまで何度か出演した「コジ〜」は自分としては馴染みのある作品ですが、今回は全く新鮮な記憶として思い出に残るような上演となりました。

 

 

この上演のためのオリジナル台本を元に、プロの役者さんがまずお芝居で場面を演じたあとに、歌手がそれになぞるような形でモーツァルトの原作を歌い演じるのですが、決して単なる模写ではなく演劇とオペラという表現方法の類似点と相違点が浮き出るかのように、それぞれの舞台芸術の特徴が交互に発揮されながら進みました。自分の出演したあとの夜公演を観劇したのですが、とても興味深く新しい視点でこの作品を改めて楽しむことができました。

 

 

プロの役者さんたち(ほとんどが40歳以上の中堅、ベテランでした)の声は芝居の会場としては残響の豊かな今回のホールでも明瞭で聞き取りやすく、歌手たちの歌声と入れ替わった時でも違和感を感じませんでした。同じ”声”を使って表現する同業者としてたくさん参考になることがありましたし、オペラでも「魔笛」や「こうもり」のようなセリフを扱う演目もあるのでとても興味深く聴き入りました。

 

 

先日の「バスティアンとバスティエンヌ」(同じくモーツァルト作曲です)に続いてコメディ色の強い演出でしたが、特にこの日は終始客席から笑いが絶えず、演劇ファンも多かったからでしょうか、オペラ公演の時にはあり得ない所で客席が湧いたり、曲の途中でも拍手が来たりと、普段と違う会場の雰囲気がとても楽しかったです!特に「コジ〜」は解釈の幅も広い作品ですし、男女の恋愛がテーマなので題材としても分かりやすく、お客さんにはオペラや演劇という枠を超えて率直に楽しんでもらえたのかもしれませんね。

 

 

お芝居畑の演出家さんや俳優さんたちと交流出来たのも嬉しかったです、また機会があれば色々と情報交換してみたいと思いました。役者さんたちのエネルギーや身体表現の巧みさに身近に触れて、また新たなモチベーションを感じる機会となりました。皆さんお疲れ様でした、ありがとうございました!

 

 

(※写真は終演直後に出演者、指揮者、ピアニスト、台本作家さん、演出家さんたちと。同じ役柄の歌手と俳優さんは同じ衣装を着ています。)