今日から日生劇場で総仕上げのリハーサルです。

日比谷公園のそば、帝国ホテルの隣にある伝統あるこの日生劇場にはこれまで「ランスへの旅」「セビリャの理髪師」で出演させて頂きました。舞台からも客席からも心地よい空間の広がりが感じられる、自分にとってお気に入りの劇場のひとつです。出演のご縁に恵まれて本当に嬉しいですね。

モーツァルトやロッシーニの作品では”レチタティーヴォ・セッコ”と呼ばれる、オーケストラの伴奏が無くて歌手とチェンバロ(または類似の楽器のフォルテ・ピアノなど)だけで進められる「歌わずに、語られる部分」が有るのですが、2000席を超えるような巨大な劇場ではどうしても音量や表現が大味になりがちです。一方、この日生劇場のサイズだとそうした傾向にも陥ることなく、本来の自然な会話や歌手の細やかな表情の変化も客席から楽しむことができます。今回の「ドン・ジョヴァンニ 」もまさにこの劇場ならでは丁寧な”レチタティーヴォ・セッコ”をお届けできるよう練習を重ねてきました。

音楽と演技の両面から、このオペラの持つ人間ドラマの深遠さをお客様には感じてもらえたら本望です。素晴らしい劇場で2回も本番に望める幸運に感謝しながら、残りのゲネプロまで引き続きリハーサルしていきたいと思います。

(※今日の舞台上から見た客席。手前にはもうオーケストラ用のピットが設営されています。)