ロッシーニの時代のテノールに挑む

29日(日)は日本ロッシーニ協会の定期演奏会に出演します。

 

今回は「ランスへの旅」「オリー伯爵」「ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)」の後期の3作品から、アリアと重唱(Sp山口佳子さん、Ms富岡明子さんと共演です!)を歌います。どの曲も自分にとっては本当に歌うのが難しく、ありったけの歌唱技術を駆使して臨む必要があるので今からすでにドキドキしています!

 

 

ロッシーニ作品には、時に”超絶技巧”とも呼ばれるような非常に難易度の高いパッセージが頻出することがよく知られていますが、ただ単に敏捷性や音域の広さ、一息で歌う長さなどを”誇示”するだけに留まらず、あくまでも”感情表現”の手段として演奏されなければ不完全です。理性と感情のバランスが、ロッシーニ以前のバロック時代風でもなく、後のロマン派風でもない、ちょうど「ロッシーニ風」になるよう演奏できたらいいなと思います。

 

 

それにしてもどの曲も”テノール殺し”というか……(苦笑)楽譜に書かれた音符だけ見たら、歌うのに尻込みするような曲ばかりです。

 

 

でもせっかくの機会、作曲された当時の偉大な伝説的テノールたちに思いを馳せながら、心と喉を奮い立たせて挑んでみようと思います!

 

 

(※画像はRICORDI社出版の「Rossini」に掲載された”現代の芸術家たち”と題された1832年当時の有名な男性歌手。左上の伝説的テノール、ジャコモ・ルビーニをはじめ、今回演奏する作品の創唱者たち(「ランスへの旅」初演のリーベンスコフ役のボルドーニ[右下]、同作品の騎士ベルフィオーレ役のドンゼッリ[2列目左]、そして「オリー伯爵」表題役&「ギヨーム・テル」アルノール役のヌーリ[2列目中央])。ロッシーニは彼らの歌唱テクニックを想定して作曲していて、いかに当時のテノール歌手のレベルが高かったかうかがい知ることができます。)