まえがき②~10/2「サロンの魅力」~

2回目はフランス語の作品(3曲)についてご案内です。

 

自分が歌いたい曲、歌ってみたい曲を選ぶときはやはりイタリアオペラをよくするテノール歌手のレパートリーになるのですが、それらの多くの歌手が同じラテン語系のフランス語の作品をよく取り上げています。実際イタリアでの友人でも、英語に続く第2外国語としてフランス語を習得していることが多く、特に地理的にもフランスに近く、街の人々も国際色豊かなミラノではかなり頻繁にフランス語に接する機会がありました。

 

 

大学生時代からですが、大好きなテノール歌手たちのオペラアリア集や歌曲集のCDの”片隅に”さりげなく収録されたフランス語の曲や、聴きに行ったリサイタルのアンコールでひと味違ったテイストでお洒落に歌われたフランスの作品が記憶に残り、楽譜を探してきて練習室で歌ってみたりしていました。でもそれを人前で披露する機会も演奏の依頼も無く、また自分の演奏会のプログラミング(選曲)ではファーストチョイスがイタリアもののアリアやカンツォーネ、その次に日本語のもの、となる中で、ようやく今回「出番が回ってきた!」という感じですね(笑)。

 

 

「フランスもの」と言ってももちろん作品ごとに様々な性格を持っていますが、そのフランス語自体が持つ独特の響きの魅力、音楽の”ニュアンス”(この言葉自体がフランス語ですね!)の魅力は、歌っていても同じラテン系とはいえイタリアものともスペインものとも異なるように感じます。特に、その良い意味での抑制の効いた、内省的で繊細な音楽の性格を丁寧に表現するためには、今回のような”サロン”会場での演奏はきっと「ハマる」んじゃないかなと期待しています!

 

 

今回はフォーレ(=フォレ Fauré)、マスネ(Massenet)、リスト(Liszt※ハンガリー出身ですがフランス語の曲も書いています。)の作品を取り上げてみました。それぞれの曲にそれぞれの大好きなテノール歌手のイメージが重なって……作品と作者にだけでなく、やはり偉大なテノール歌手たちへのオマージュ(「敬意、賛辞」。これもフランス語!!)として選曲しました。

 

 

フランスもののオペラと言えば日本では唯一「カルメン」(ビゼー作曲)だけが市民権を得ている状態でしょうか??「マノン」「ウェルテル」「ロメオとジュリエット」「ファウスト」「ミニョン」「真珠採り」などなど、テノールが活躍する演目やとびきり美しいアリアを含む作品も多いフランスオペラ。チャンスが来たらいつでも歌えるよう楽譜を買って意味調べと音取り(笑)を済ませて準備はしていますが……まずは今回の歌曲で、その魅力の断片だけでも楽しみたいと思います!!

 

(※「ラツィヴィル王子のサロンでピアノを弾くショパン」シエミラツキー作/1887年)