30日(金)は昭和音楽大学構内のユリホールで歌います。
同大学で長年にわたりご指導されてきた、ピアニストの金井紀子先生のご退官を記念しての演奏会です。チラシをご覧頂くとお分かりのように、本当にたくさんの歌い手さんや伴奏ピアニストさんが出演して、きっと盛大なお祝いの会になることと思います。
金井先生との直接の出会いは、2007年のイタリア・ペーザロ市でのRossiniOperaFestivalの若者公演「ランスへの旅」に出演した際、終演後の楽屋口で声を掛けて下さった時です。周りの外国人共演者が終演後に家族や友人知人に囲まれて祝福される様子に少し寂しく思っていたところに、初対面ながらも日本語で金井先生から温かい言葉を贈って下さったことはとても嬉しく、そこで初めてオペラ公演の達成感や安堵感に浸ることができたのを今も覚えています。
以来、帰国して入会した日本ロッシーニ協会(金井先生のご主人である水谷彰良さんが会長です)の主催コンサートで度々共演させて頂き、我が国では貴重なロッシーニを歌う機会を与えて頂きました。リハーサル中にはロッシーニの音楽の解釈や歌い方についてのアドバイスを頂戴しました。まだまだ乏しいキャリアではありますが、国内で珍しくロッシーニ作品をよくするテノール歌手として自分が評価されている部分があるとすれば、それは金井先生のおかげだと感謝しています。
もちろん、ご退官されてもこれからまだまだ私たちにたくさんの音楽を教えて頂けるものと楽しみにしています。演奏会では「セヴィリアの理髪師」の大アリアと、ペーザロで上演した「ランスへの旅」から”14声による大重唱”の2つのロッシーニ作品、そして「友人フリッツ」から”さくさんぼの二重唱”を歌わせて頂きます。出演者みなさん・お客様と一緒に先生へのご恩への感謝を胸に、そしてこれからの益々のご健勝を願いながら、音楽でお祝いしたいと思います。
(※写真は2010年のロッシーニ協会定期演奏会のリハにて。ロッシーニ作曲の歌劇「エルミオーネ」のアリア歌唱中。ピアノ演奏の金井先生が見えにくくて失礼ですがこれしか無くて……先生すみません!)