本番を週末に控えた『蝶々夫人』のリハーサルも佳境に入ってきました。
写真は先日行われたオーケストラとのリハーサル風景。いわゆる「オケ合わせ」という、オペラ制作の過程中でも大切なリハです。
オペラの場合、普段はピアノの伴奏で練習するのですが、それまで何十回と繰り返し練習してきたテンポやダイナミクス(強弱)などがこのオケ合わせで大きく変更することもしばしば。ピアニストは1人で演奏できるので瞬時に歌手に寄り添いやすいのに対し、オーケストラは様々なパートが個別に演奏されている集合体なので。PUCCINIの縦横無尽なテンポやタイミングを合わせるだけでも大変です。でもこれだけの人数の奏者が指揮者の元に息を合わせて一つの音楽を作る作業は、何度経験してもとても崇高な時間に感じるものですね。オペラ歌手の特権の一つだと思います。
このオケ合わせ、他の多くの公演と同じく、今回もひと組につき一回(一日)限り。『蝶々夫人』全曲をほぼ一回通すだけの限られた時間の中で、ソリスト(特に出番の多い主要キャスト)たちはオーケストラとなんとか折り合いをつけるべくものすごい集中力でリハーサルします。
そんな中、私を含む脇役キャストや合唱は2日公演の両日に出演するため、このオケ合わせも2回(2日)参加できるたのですが、これは少しでも「安心して歌える」状況を作る上で本当にありがたいアドバンテージです。よく周りからは「両日の方は連日稽古で休みが無くて大変ですね」と労いのお言葉をもらうのですが、実は練習が多いことで得られるメリットの方が、体の疲労や自由な時間が少ないなどのデメリットよりも大きいと感じています。
特に今回は藤原歌劇団や二期会という枠を取り払って集まった素晴らしい主役級歌手、そしてそれぞれ日本を代表する指揮者・演出家のそばで毎日を過ごしているわけですから、そのもったいないほどの楽しさ・ありがたさを感じることはあっても、疲労などは全く感じません!
あえてデメリットを挙げるなら、連日午後2~夜9時までの拘束時間なので、朝干した洗濯物が取りこめずに帰宅する頃には湿りきっていたり風で落下していて悲しい思いをすることぐらいでしょうか……(笑)
さぁ、書いてるそばからまさに今、作業完了を告げる洗濯機のピーピー音が!(笑)
今日からは衣装とメイクも本番通りの姿でホールでの通し稽古。今度こそは洗濯物が飛ばないようにしっかり干して、リハーサルにいってきます!!