次は『チェネレントラ(シンデレラ)』のドン・ラミーロ王子が「従者に変装」したシーン。
初日(24日)の2つ目の役柄でしたが、カツラやヒゲ、服装も上から下まで全部取り換えでした。足元はなんと「長靴」!(笑)
朝岡さんの提案で、本物の泥にまみれたご自分の長靴をお貸し頂きました。クラシックのコンサートホールに長靴で上がるとは・・・あ、でも裏はちゃんときれいですよ!
日本でよく知られたシンデレラのあらすじとはちょっと違って、ロッシーニ版では、王子自らが身分を隠して(従者と服装を入れ替えて)理想のお妃を探しに城を出ます。登場シーンの歌詞の中で「こんなヘンテコな姿で、さて美女を探すとしようか・・・」とありますが、確かに王子様の雰囲気はゼロですね。ここだけ見たお客さんは、「愛の妙薬」のネモリーノと間違われたかもしれません……(泣)
「チェネレントラ」もいつかやってみたくてイタリアでコレぺティトール(ピアノで曲の歌い方や発音などの指導や作品の解釈・分析をする)の先生と全曲を勉強してありますが、まだそのチャンスとは巡りあえていません。欧米ではわりと頻繁に上演されるのに日本ではほとんど機会のないロッシーニ作品の代表です(一級品の主役メゾソプラノ、イタリア語の早口と芸達者なブッフォ・バリトンが二人、声楽的に難曲が歌える優秀なバスが1人必要)。
(続く)